CGアニカップ クリエイターインタビュー
自分なりのスタイルでアニメ作品と向き合う

2017年8月22日

今年9月18日(月・祝)、京都にてCGアニカップが開催されます。短編アニメ作品の上映会であるCGアニカップは、各国の短編アニメ作品を競わせるという非常にユニークな大会として知られています。

今回は、CGアニカップの日本代表メンバーにも選出され、現在京都にてイラストなどの制作を行うFMCイラスト工房のイラストレーター・多田文彦氏にアニメ制作やCGアニカップの魅力についてお話をお伺いします。

CGアニカップとは…
CGアニメクリエイター達が5名1組のチームを組んでお互いのアニメ作品を競わせる国または地域対抗団体戦です。他のアニメ上映会にはない特徴として、勝敗の決め方が作品上映後の観客の拍手の音量という、独自の判定方法が採用されています。
コンテンツ産業に力を入れている国々が参加し、各国のクリエイター達の交流を促進していくことを目的に開催されています。2017年は日本のほか、韓国、台湾でも開催されます。
今回の日本大会では、日本代表チームは「CGアニメコンテスト」の入選作品の中から、韓国代表チームは「インディアニフェスト」から選出された各クリエイターの作品が上映されます。
http://CGanime.jp/cup

試行錯誤しながらもアニメ制作を楽しむ


第27回CGアニメコンテスト 入選作品「ゾンビ入門」

(多田氏)
アニカップの代表に選ばれるきっかけは、第27回CGアニメコンテストで作品が入賞したことからです。CGアニメコンテストへの応募自体は第26回(2014年)が初めてになります。

初めて応募した第26回の時は落選だったのですが、実はCGアニメコンテストは落選者にもメールでフィードバックが戻ってくるんです。ランキングとまではいかないのですが応募作品全体の中での位置付けと主催者からの講評をいただきます。落選した人にもコメントが戻ってくるコンテストってCGアニメコンテストくらいじゃないかなと思います。特に、僕のように一人で作っていると作品に対するコメントや反応がいただける機会って入賞した時くらいしかないので、落選者へ講評は本当に貴重でありがたいですね。ちなみに、その時の僕の作品の評価は、全体の中でも「中の下」ランクくらいのまぁまぁ酷いものでした(笑)。なので、リベンジ的な意味合いもあって「ゾンビ入門」を作って応募して、昨年開催された第27回大会に入賞することができました。

作り直しを繰り返しながらやっと生まれた入賞作品

今回のCGアニカップでも上映されるCGアニメコンテストでの入賞作品「ゾンビ入門」は、もともと違うゾンビの作品でした。僕は、結末を最初に決めてからストーリーを構築してくスタイルで、こだわりというほどではないですが、一通り最後まで作ってみないと面白いのか、面白くないのかがわからなくなってしまうことが多いんです。なので、制作中は熱が入ってどんどん進めていっても、冷静になって見てみると、「なにがこの作品面白いんやろうか…」となってしまい、最初から作り直すこともしばしばです。

ちなみに、入賞された方々はそれぞれの方法でアニメを作られていて、僕は一貫して一人で制作して完成まで他の人には全く見せないのですが、入賞作品にはチームで作られたものもあります。お互いに分業してネット上で絵コンテを確認し合うという手法をとっているチームの方もいると伺っています。

話を戻すと、「ゾンビ入門」の前に「ソンビ殿下」、「ゾンビの誕生日」っていう2作品を作っていて、どちらの作品も最後まで作ってみた後に泣く泣くボツにしました。そして、3作目のシナリオでやっとかたちにできたかな、と思って出来上がった作品が「ゾンビ入門」です。余談ですが、「ゾンビ」作品はCGアニメコンテストに出すことを目標として作っていて、最後まで「ゾンビ入門」が出来上がっていたにもかかわらず、締切まであと二週間という時点で結末に納得いかなくなってしまい、最後とてもバタバタとした制作になってしましました。一旦出来上がった時の内容で声優さんに声も入れてもらっていたんですけど、そこの部分も全部カットしてつぎはぎしながらなんとか完成までこぎつけました。

「動かせたらいいね!」の声から広がったアニメ制作の楽しさ

実は、アニメーションを制作し始めたきっかけは、お客さんから「(依頼で制作したイラストが)動かせたらいいよね!」っていう声をいただいたことからなんです。それ以来、いくつか短い作品を作っていて、一番初め手描きをスキャンしていた頃から制作環境も変化してきました。そして、今回の作品「ゾンビ入門」では初めて声優さんに声を入れてもらうチャレンジをしました。

ただ、アニカップに持っていく作品は「台詞入りの作品はめんどくさい」という面もあるかもしれません。翻訳の手間や文化の違いでニュアンスが伝わりにくい、などという部分が要因だと思います。実際、台湾で僕の作品を上映した時に字幕を入れてもらったのですが、なかなか難しいところがありました。ですが、声優さんに声を入れてもらうと作品の厚み、というか魅力が途端に増すんですよ。一度声を入れたら次の作品でも声を入れたくなる、という話をよく耳にしますが、僕自身も次の作品でも入れたいと考えていますし、欲を言えば更に音楽もオリジナルのものを入れたいですね。

現在は、本業のイラスト制作が忙しくて昔よりもアニメ制作にかける時間が減ってはいますが、それでも引き続き自主制作アニメは制作を行っています。次回作は、学生時代にバイトをしていたドーナツ屋の話にしようとしているのですが、先日そのお店が閉店してしまい取材に行けなかったり、ストーリーがしっくりこなくて何度も練り直す、など今回も苦戦している最中です。ただ、なんとか来年には完成させたいと思っています。ちなみに、次回作もCGアニメコンテストを目標に頑張る予定です。やはり、コンテストという目標があると制作の励みになりますからね。

日本代表として、クリエイターとしてCGアニカップを楽しむ

様々な作品を皆と共有できる会場の空気も含めて楽しみたい

CGアニカップに関わるのは、今回で2回目になります。日本以外の国の作品を見て国ごとの雰囲気などを楽しむことができるのはCGアニカップならではですね。台湾大会(2016年・台湾アニカップ)で初めてCGアニカップに参加したのですが、作品も大会の雰囲気・運営も日本とは全然違う感じでいい意味で楽しめました。また、上映される作品たちは、各国で雰囲気が違っていて、国の文化というか、色みたいなものを作品から感じとることができるのも良いですね。例えば、今回京都で対戦する韓国チームの特色としては、社会的な内容、というか儒教的なモチーフなどが作品の傾向として多いように感じます。縛りなのか、たまたまなのかわからないですが、昨年KIAFA(韓国インディペンデント・アニメーション協会)のDVDを購入して見た印象では、社会的なものをテーマにした動画が多かったように思いました。もちろん、韓国だけでなく、台湾には台湾の、各国それぞれの特色が作品に反映されているのを感じることができますね。

ここ数年、日本チームは非常に苦戦しているように思います。昨年の台湾アニカップでも残念ながら台湾チームに敗れてしまいましたし、今回の対戦相手となる韓国もレベルが高いですね。ストーリー構成も技術もレベルが高いことがどの作品を見ても感じます。あと、若い制作者も多いです。今回CGアニカップに出てくるであろう作品を見たのですが、とても面白かったです。なので、そのぶん対戦が楽しみです。CGアニカップは星取り戦形式なので、作品のオーダーの組み方が悩みどころですね。そして、会場でたくさんの人と共有して作品を見るのは、普段の動画鑑賞とは全く違った雰囲気となりますので、その会場の空気を感じてみたいです。また、観戦に来られる方にもその雰囲気を楽しみながら作品を見ていただけると良いかなと思います。

CGアニカップ 日本×韓国 in 京都 開催概要

日    程
2017年9月18日(月・祝)
時    間
13:10~16:00
会    場
京都コンピュータ学院 京都駅前校 大ホール
(京都市南区西九条寺ノ前町10-5)
入 場 料
無料
W E B
http://CGanime.jp/cup

プロフィール

多田 文彦
FMCイラスト工房 代表・イラストレーター
1974年生まれ。京都市出身。
大阪産業大学経営学部卒業後、広告代理店やデザイン事務所での勤務を経て独立。現在FMCイラスト工房代表。
イラストレーション・キャラクターデザイン・アニメーション・グラフィックデザイン・動画など、各種デザインを手がける。
FMCイラスト工房:http://fmc.chu.jp/