ゲーム作品を多くの人に知ってもらう機会を生かす

2017年6月27日

5月20日21日に開催されたBitSummit。来場者、出展応募者ともに過去最高を記録し、盛況のうちにイベントが開催されました。 BitSummitに関わる方々にスポットを当ててお話をうかがうシリーズ企画の最終回となる今回は、BitSummitの出展者であるゲームプログラマー渡部健氏にお話をお伺いします。 京都の有名ゲーム企業でプログラマーとして勤めた後に個人のクリエイターとして活躍し、現在はエンジニア向けのシェアハウス「ギークハウス京都東福寺」の管理人も務めておられる渡部氏に、出展者ならではの視点でBitSummitを語っていただきました。

初出展の中で得たもの

(渡部氏)
今回が初出展でした。実はBitSummit自体に参加するのも初めてで、どれだけのお客さんが来るのか未知数で不安でしたが、楽しんでいただいてよかったです。
今回の出展したゲーム「SOLOKUS -ソロックス」は大体2ヶ月くらいで初期のバージョンを作ってその後2ヶ月ほどアップデートを繰り返しながら作り上げました。とてもシンプルなパズルゲームなので、お子さんから年配の方まで幅広く遊んでいただきましたね。ブースが忙しくて正確なカウントは取れなかったのですが、おそらく200名くらいのお客さんにプレイしてもらえたのではと思います。予想以上に多くの人にブースに立ち寄っていただいたので、最初準備していた4台の機械では足りなくて、自分のスマホを出してお客さんにプレイしてもらったりしながら2日間乗りきった感じですね。なので、自分のブースに張り付きの状態でお昼を食べる余裕もなかったです。

ゲームの評価を直接いただける貴重な場として

もちろん、ゲームをリリースしてプレイヤーからレビューをもらうこともありますが、プレイしている様子を見ることができたり、直接プレイヤーから評価をいただける場はとても貴重だと思いますし、レビューに比べて幅広い層の反応を見ることができるのはBitSummitの良いところですよね。

実は一番嬉しい出来事があって、土曜日にゲームを楽しんでくれた親子連れの方がいたんですけど、そのお子さんが「SOLOKUS -ソロックス」をとても気に入ってくれたということでわざわざ日曜日にまたお父さんも連れてブースに来てくれたんです。そしたら、実はそのお父さんは前職の先輩で…ということがあって本当に驚きました。驚いたのですが、先輩から「子どもがとても面白いと言っていたゲームが、まさか君(渡部氏)の作ったゲームだと思わなかったよ」と言っていただいたんです。このほかにも前職の同僚や先輩が多くブースに立ち寄ってくれて、ゲームを評価してくれたのも嬉しかったですね。前職の時も同じくらい褒めてほしかったなと思いましたけど(笑)

あと、具体的な成果と言えるか分かりませんが、BitSummit開催後にゲームのダウンロード数が少し増えた気がします。また、レビューに「BitSummitでやって楽しかったので」というコメントをいただいたのを見ると出展したことはよかったと感じています。

BitSummitへの期待


ゲームがフィーチャーされるチャンスが増えていけば

BitSummitは今回初出展でしたが、出てよかったとすごく思いました。出てよかったと思えたのは宣伝効果があるところですかね。

特にフリーでゲームを作っている個人開発者の場合、作品を出した時に一番効いてくるのってAppleやGoogleにフィーチャーされるかどうか、っていうところなんです。そのためにどうすればいいかというと、やはりメディアとかに取り上げられて注目されるのが重要だと最近感じていて、露出はできるだけ増やしていったほうがいいなと個人的には考えています。なので、BitSummitの会場で直接的な反応・影響がなかったとしても、出展を通して作品が目に触れる機会を増やしてAppleやGoogleに取り上げてもらう確率をあげていくのが重要なのではないかと。大手に取り上げてもらうかどうかで、ダウンロード数が100~1,000倍くらいは違いますからね。なので、もしBitSummitに今後期待したい部分があるとすれば、企画や運営はとても大変だと思いますが、年に1回ではなく複数回開催になってより情報発信の機会が増えればより嬉しいなと思います。規模やテーマなどは回ごとに差別化してくれればよいかと思いますが、頻度高めに開催されるということはそれだけゲームをアピールする機会・注目してもらえるタイミングや回数が増えるということにつながりますから。

ゲーム制作の「目標」としてのBitSummit

あとは、個人的な話ですが、去年から個人クリエイターとして活動を始めたので、まだまだ学ぶ部分が多くあります。なので、今は既存のゲームを高めるよりもゲームの本数を増やして経験を積んでいくことが大事だと考えています。今年中に少なくとも2本リリースするつもりです。そのようにゲーム制作を進めていく中において、BitSummitという存在はある種の「目標」として励みになるんですよね。BitSummitを目指して作品を作る、という意識を持てます。

「SOLOKUS -ソロックス」は、ルールも非常に分かりやすくシンプルなゲームです。ただ、万人に楽しんでもらえる作品ほど実は非常に難しいんです。シンプルな中にもプレイヤーを飽きさせない工夫が必要ですし、シンプルなゲームほどそれを超える作品を作るのが難しく、今苦戦しています。でも次回のBitSummitには「SOLOKUS -ソロックス」を超える作品を出したいと思っています。

渡部さんにとってのインディーゲームとは

作り手としては非常に魅力的な場所ですね。自分がゲーム会社にいた時は、めちゃくちゃ稼げるゲームじゃないといけない…みたいなところがあったんですよ。そうすると自ずと作れるゲームって絞られてきますし、開発費も膨大になって失敗もしにくいです。

インディーゲームってその縛りが薄いと思っていて、自分みたいにほぼ個人でやっていると年に数百万円稼げれば生きていけるし、自分の場合開発期間を短くしているので2,3本全然稼げないソフトを出してもなんとかなるんですよ。そうなると色々とチャレンジしやすいですね。もちろんその分開発に掛けられるコストも少ないのですが。

あと、開発期間を短くし易いのでゲーム制作の経験値を貯める速度が早いのも魅力です。企業にいた時も学ぶことは多かったのですが、大規模開発に特化していることも多くて、遊び作りや物の売り方に対する知見はインディーで短いスパンでゲームをたくさんリリースしていった方が溜まりやすいんじゃないかなと思っています。

インディーゲームはもちろん遊ぶ側としても魅力的で、さきほども言ったようにインディーの方がチャレンジし易いので尖った作品が多いと思います。実際、大手のゲームよりインディーゲームの方が刺激を受けることが多いです。もちろん大手のゲームも大好きなんですけど(笑)

A 5th Of BitSummit 開催結果

来 場 者 数
9,346名(2日間の総来場者数)
出展ブース数
101(スポンサーブース除)
日    程
2017年5月20日(土)・21日(日)
時    間
10:00~17:00
会    場
京都市勧業館「みやこめっせ」 1階 第2展示場
主    催
BitSummit 実行委員会・一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)( Q-Games Ltd. / PYGMY STUDIO CO., LTD. / VITEI BACKROOM Inc. / O-TWO inc. / 17-Bit / Digital Development Management, Inc. / Indie MEGABOOTH )・株式会社ワン・トゥー・テン・ホールディングス・株式会社インピタス・京都府・京都コンピュータ学院
制    作
株式会社オリコム
W E B

http://bitsummit.org/2017/ja/

プロフィール

渡部健
ゲーム開発プログラマー/ギークハウス京都東福寺管理人
1981年生まれ。岩手出身。東北大学、東京大学大学院修了後、京都のゲーム企業にて10年プログラマーとして勤務。その後、イギリス留学や世界20カ国をめぐった後、京都に戻り2016年から個人ゲーム開発をしながらゲームクリエイターの集まるシェアハウス「ギークハウス京都東福寺(通称:ギー福寺)」を運営。


ギークハウス京都東福寺 http://geektfkj.blogspot.jp/

渡部氏の作品紹介

SOLOKUS -ソロックス

累計15万DL突破!新しくて、中毒性のある可愛いブロックパズルゲーム!
Android版  iOS版

料金: 無料
ジャンル: パズル
レーティング: 4 歳以上
対応OS: iOS/Android

街づくりパズル エコノミシティ – Economicity-

街を発展させていくパズルゲーム!目指せ10万人都市!
Android版  iOS版

料金: 無料
ジャンル: パズル,シミュレーション
レーティング: 4 歳以上
対応OS: iOS/Android

Divide

Android版  iOS版

料金: 無料(広告モデル)
ジャンル: パズル
レーティング: 全年齢対象
対応OS: iOS/Android