名作映画上映会&技術セミナー
- 日 時
- 2017年7月15日(土)13:30~16:40
- 会 場
- 京都文化博物館 3Fフィルムシアター
- 参加者
- 150名
- 料 金
- 無料
- 主 催
- 京都クロスメディア推進戦略拠点/一般社団法人日本映画テレビ技術協会京都支部/京都市/公益財団法人京都産業21/京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクト推進協議会
- 協 力
- 今村プロダクション/林原グループ
講師
・近森 眞史 氏(撮影監督)
(司会・聞き手)吉野 香子 氏(日本映画テレビ技術協会)
プログラム内容
1)「黒い雨」フィルム上映
今村プロダクション協力のもと、映画「黒い雨」フィルム上映を行います。「黒い雨」は、撮影(川又 昴 氏)、照明(岩木 保夫 氏)、美術(稲垣 尚夫 氏)の3部門で、第43回日本映画技術賞を受賞しています。
2)ゲストトーク
カメラマン川又 昴 氏に師事され、上映作品に携われた近森 眞史 氏をお招きし、当時の撮影現場のお話を伺います。
3)KCROPと映テレの会員交流会(希望者のみ・会費制)
KCROPと映テレの会員による親睦ビジネス交流会を上映会場の向かいの居酒屋にて行います。
報告レポート
今回は、第13回日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ13部門で受賞し、カンヌでもコンペに出品されフランス映画高等技術委員会賞を受賞した「黒い雨」をフィルム上映し、協会関係の参加者と一般観客を合わせ、祇園祭真っ最中にも関わらず、ほぼ満員の150名のご参加をいただきました。
上映後のトークショーでは、川又昂氏に師事され、山田洋次監督作品の撮影監督も多く務められている近森眞史氏をゲストにお迎えしてトークショーを行いました。近森氏は、「黒い雨」では撮影助手として参加されており、30年も昔の話なのでよく覚えていないとおっしゃりながらも、黒い雨が降るシーンでは、粘度をより強く出すため砂糖ではなく「はったい粉」と墨汁で作成したことや、里山のシーンは、美術部が2年間探して辿りついたロケ地であり、また昭和20年代を再現するため電柱をすべて撤去し、アスファルトの道を土で覆ったことなど制作裏話から、きのこ雲は三原山の噴火を加工したことや、カラー作品が主流になった当時、白黒作品にしたため、フィルムやフィルターの入手が困難で特別注文で作ったフィルムを使用したこと、大きな鯉が池から飛び跳ね出しては、水面に幾重もの波紋を残して再び水の中へ入るシーンは、映画では初となるハイジョン撮影を行ったことなど撮影技法のお話、最後のシーンを撮影し直したエピソードなど、幅広く「黒い雨」の舞台裏を披露していただきました。また、最後の質疑応答では、映画監督を目指されている方をはじめ今村昌平監督ファンや井伏鱒二ファンの方などからの多くの質問に対し、近森さんが一つひとつ丁寧に返され、充実した時間となりました。